4, 転調(1)

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4-2, 陰陽化


4-2-1, 伝統曲の陰化

伝統曲ではもとはT律音階であったものが、T都節音階に変化したと思われるものがある。
また、この2種の中間音が混在しているものもある。
このようにT律音階がT都節に変化する場合、これを陰化という。

これらはそれぞれ同主調の関係になる。

5音調のなかで主音が代わる場合も陰化が起こることがある。
伝統曲「うさぎうさぎ」を例にすると

T民→mZの後半が陰化し、
T民→mZとなる。
単純な和音をつける。

都に導和音を使う。

4-2-2, 陰化の敷衍

島田式では、これを敷衍して、

陽音階、T律が陰音階、T都に変化するものを陰化
〃   T民が〃   T琉に〃          
陰音階、T都が陽音階、T律に変化するものを陽化
〃   T琉が〃   T民に〃          
と呼ぶことにする。

つまり、導音が2度で接する核音に対し、

導音−長2度→核音(↑陽化)
↓↑
導音−短2度→核音(↓陰化)
という関係になる。

変化するのは中間音のみであるため、陰化も陽化も主和音のみで作ることができる。

普通に和音をつける。

陰化


陽化


4-2-3, 転調と陰化

転調は細かく見れば2つの意味がある。
1つは転主音で2つの音階が同じ音程関係でも高さが違うもの。
例えばCdurとDdur
1つは転旋法、または転音階で音階自体違う音程関係をもつもの。
例えばCdurとCmoll
普通このうちの1つまたは両方が起きることを転調という。

「うさぎうさぎ」で見たように、2つの調を陽音階と解釈したときに、
同じ音階音を持つ場合、主音が替わり、片方が陰化することがある。
つまり転主音と転旋法が起こったことになる。

5音調で見たようにT民とmZ律は同じ音階音をもつ。
言い方を変えるとT律とMU民は同じ音階音をもつ。
このうち片方を陰化させる。

 
転主音T(ラ)民mZ(ソ)律または転主音T(ソ)律MU(ラ)民
陰化陰化
T(ラ)琉mZ(ソ)都T(ソ)都MU(ラ)琉

4-2-4, 和音進行

同主調ではTが共通和音となるので、Tを出した後、他の和音を使う。
陰陽化のときに主和音以外、つまり中間音を含む和音を直接つなげると増1度進行ができるが、
これは避けなければならない。
中間音は1度核音に解決してからのみ新しい中間音に進むことができる。

T民とMU律をもとにした陰陽化では、各々の主和音が他の調の導和音となる。
ここでもまず主和音に解決してから新しい調の主和音に進む。
ただし、先行する調の導和音は後続する調の主和音と同じなので旋律とはタイミングが合わない場合もありえる。
先行する調の導和音以外と後続する調の導和音を直接つなげると増1度進行ができる。これも避ける。



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